「やり方ではなく、成果にこだわる」で良いのか、考えた

うまくいっていれば問題ない?

ちょっと前から、例えば、 Modern Agileとか、スクラムお化けの話など、すごく大雑把に言えば、「やり方に注目しないで成果に注目しよう」みたいな話を聞くことが多い気がしています。

Scrumの奴隷という言葉もありますし、プロセス実施して満足するな、みたいな文脈だったり、自分たちに合った方法を自分たちで見つけましょう、とか、具体的に課題を解決していくことが大事なんですよ、みたいな文脈で同意する部分も多い一方で、何となく自分の中で違和感を感じる部分がありました。(念のため申し上げると、否定する気持ちは全くなく、理解しきれていない、というイメージです)

違和感を頑張って言語化すると、守破離とか歴史から学ぶとか、これまで先人が築いてきたものをちゃんと理解するのも重要で、「型があるから型破り、型がなければ型無し」と言われるように、基礎(?)を学ぶことで出来るようになる(学んだ方が出来る可能性が高くなる)こともあるのでは、という気持ちです。

もしくは、例えば、めちゃくちゃなフォームで170キロの豪速球を投げるピッチャーがいたとして、その人がいるうちは試合に勝てて良いですが、一般化された(確率的に多くの人にあてはまる)良いフォームを知っておくこともチームとして大事なのでは、という気持ちです。

このもやもやが、別のことを色々と学ぶ中で、Connecting Dotsした感じがあったので、その内容を徒然なるままに記載していきます。

人の学び方について学び始める

最近、教育心理学概論読書会を中心に、認知科学モティベーション理論、行動経済学など、人の捉え方や学び方について、色々と理論を勉強しています。*1

その中で、人の学び方や目的も時代に合わせて変化していることを知りました。

例えば、親と同じ仕事をするために技術を伝承することが重要な時代には、徒弟制度の形でその仕事の内容をじっくり学びましたし、産業革命以降は、親と違う仕事をする可能性が高いので、仕事のやり方を覚えるために、要求されたルールを正確に覚える力が大事とされてきました(テストで良い点取ろうの時代)。今はルールややり方もどんどん変わるので、学んだことから次の学びに繋げていく力(前向きな学び)が重要なのかなと思います。

Elastic Leadershipを読む

エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方の中に記載されていた、リーダーシップの手段がフェーズによって異なる、という観点が、自分の中でとても大きな気付きでした。

最終的には自己組織化されたメンバーで構成されたチームが良いよ、と思っている一方で、フェーズによっては、チームを指揮統制していく必要がある、という考えは、言われてみれば当然な気もしますが、いつまでも統制されるチームになってしまわないか、とか、自分で考えなくなってしまうのではないか(自分で気付く機会を奪ってしまうのではないか)、とか、どう進めるのが良いのかなーと色々と考えさせられました。

プロセス主義という言葉を目にする

社内でQCサークルという業務改善のようなプロジェクトにアサインされて、その運営の方から課題整理のやり方などプロセスを習う機会がありました。その中で、教育という側面から、プロセス主義で、QCサークルのプロセスを一通り実施してもらうことを重視していて、成果にはこだわっていない、という話があり、これが普段の、「成果が大事」とは逆に思えたので、とても印象的でした。

また、FacebookのFeedで、とある学校の校長が、プロセス主義を大事にして教育を行っている、という内容を目にしました。

教育という視点で、プロセス主義という言葉が出てくるのが気になったので、軽くネットの記事を散見してみると、短期的な視点の成果主義と長期的な視点のプロセス主義という対比をされているのをいくつか見かけました。

もちろんどれも、成果が大事ではないと言っているわけではないのですが、目的によっては、短期的な成果が出るよりもプロセスを学ぶことが大事という考えがあるのかなーと思います。

QCサークル活動の基本と進め方―あらゆる小集団活動に役立つ (はじめて学ぶシリーズ)

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伸びる子の育て方

伸びる子の育て方

繋がった結果

唯一無二の結論、というわけではないのですが、フェーズとか目的によって、プロセスを学ぶって大事なんだろうな、が今の考えです。

例えば、成長途中のベンチャーなど、170キロのピッチャーに頼って今日の試合に勝つことがとにかく重要な場合もあれば、リーダー戦略を取っているような企業では、仮に今日の試合に負けても、しっかりと選手を育てる仕組みを作ることが大事だったりすると思います。

ただ、プロセスを学ぶのって、フェーズとしては、最初の(序盤の)ものなのかなと思います。あと、学んだことはそのまま使えるとかずっと使えるわけではないですよ、なぜなら世の中はどんどん変化していくので。最終的には、学んだものをそのまま使うのではなくて、学んだものをベースに、新しく自分たちに合った、時代に合った、やり方を作っていかなきゃ駄目ですよね。より良い方法を明らかにしていなかなきゃですよね。が、Modern Agileってことなのかなー、というのが今回感じたことでした。

つまり自分の視点が序盤にあったから感じた違和感だったのかなと。引き続き精進していきたいです。

*1:参照書籍

教育心理学概論 (放送大学教材)

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理解とは何か (コレクション認知科学 2)

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モティベーションをまなぶ12の理論

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人は勘定より感情で決める ~直感のワナを味方に変える行動経済学7つのフレームワーク

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